模倣品対策としての商標権取得の重要性 2022.09.01

今回のコラムでは、模倣品対策を講じる上で商標権を取得することの重要性についてお伝えします。ビジネスを進めるうえでは、他社との差別化のため商標権を登録することが一般的です。ただし、商標権は登録された国でのみ効力を発揮することに注意が必要です。ビジネス上の差別化だけでなく、模倣品対策として、必要な国での商標権取得を検討してみてはいかがでしょうか。                          

ニッパツ 模倣品対策製品 営業担当

 

模倣品とは? 商標権って?

colum2

これから、どのように模倣品対策を講じていくべきか考えていきます。
まず始めに、そもそも模倣品とは何かという点から考えていきます。いわゆる模倣品(ニセモノ)とは誰かの知的財産権を侵害している製品を指しますが、このコラムでは、知的財産侵害物品の内訳として、商標権侵害品が大半を占める(※1)ため、商標権を侵害しているものを模倣品(ニセモノ)と見做します。
商標権とは、商品又はサービスについて使用する商標に対して与えられる独占排他権で、その効力は同一の商標・指定商品等だけでなく、類似する範囲にも及びます。一方で、商標権は登録された国でのみ効力を発揮しますので、日本で登録された商標権は日本国内でのみ効力を発揮します。つまり、模倣品の発見場所が日本国内であれば、自社が持つ商標権に基づき救済を求めることができます。

参考:
※1 経済産業省 特許庁「模倣品の越境取引に関する規制の必要性について」「知的財産別輸入差止実績と侵害貨物の小口化」(2022-09-01)

 

商標権を、模倣品被害の多い地域で取得する重要性

日本国内で模倣品を見かけることはほとんどありません。模倣品被害の大半は海外で発生しています。海外市場で自社の模倣品を見つけた時、どのように救済を求めればよいでしょうか。その大前提となるのが、模倣品被害発生国で自社製品に関する商標権を持っているかどうかです。商標権を持っているから、商標権侵害を訴えることができるのです。すでに当該国へ進出している企業であれば、商標権を取得しているかもしれませんが、皆様が意図せず第三者の並行輸入によって当該国で販売されている場合、当該国での商標権は未取得かもしれません。しかし、並行輸入されるほどの製品ですから、当該国での需要が見込まれるでしょうし、需要が見込まれる以上、模倣品被害の発生も時間の問題かもしれません。少なくとも、当該国で商標権を取得していなければ救済を求めることは非常に難しいと思われます。


商標権取得は模倣品対策として有効

商標の抜け駆け出願(冒認商標)という言葉をご存じでしょうか。簡単に言うと正当な権利を有しない他者によって商標が出願・登録されてしまうことです。こうなってしまうと自国で使用している商標権を当該国で取得できないだけでなく、使用することもできません。進出を考えている国で商標権の取得を検討することは、当該国でのビジネスを成功させるため、模倣品対策において有効に機能します。

次回のコラムでは、ある国で模倣品を見つけた場合にどのように救済を求めていくかをお伝えしたいと思います。