TCFD提言に基づく情報開示 Disclosure based on TCFD recommendations

governance

ガバナンス

 「ニッパツグループ環境チャレンジ」の宣言に基づき、地球環境対策委員会では事業ごとの長期の環境活動計画をとりまとめるなど、当社グループで持続可能な社会の実現に向けて活動を強化しています。
 地球環境対策委員会は年 2 回開催され、ニッパツグループ環境チャレンジを踏まえた中間目標の設定、実現に向けたシナリオの策定を行い、活動を推進しています。推進の進捗状況は、経営戦略会議へ定期的に報告し、経営戦略へ反映しています。

推進体制

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・社長は各 BU と部門の役員を地球環境対策委員会の委員に任命し、トップダウンで全社的な活動を推進
・実務担当者で構成される環境チャレンジ推進会議を通して、具体的な方策を展開
・各 BU と本社部門は関連するグループ会社を統括し、トップダウンで活動を推進

strategy

戦略

 当社グループでは、各生産本部、グループ会社にて2026年の目標値を定め、「省エネ推進」「設備の電化」「生産工程や製品開発における技術革新」「太陽光発電などへの設備投資」「再生可能エネルギー電力購入」に分類される具体的施策を立案し、投融資審議会において十分な審査を行ったうえで実施しています。計画に対する施策の実施状況については、継続的に地球環境対策委員会にて各生産本部、グループ会社からの報告を受け、これに対するフォローを行っていきます。
 また、2018年4月に創設された電動化事業推進室を通して、CO₂排出量の削減に貢献する製品を提供していきます。

<物理リスク>気候変動による災害など物理的影響に関連するリスク

影響する項目

リスク

機会

対応

 
 
 
急性

・異常気象による大規模災害

・ 河川の氾濫、巨大台風、渇水、津波、高潮、落雷などによる生産支障

・ BCP 対応の強化による、顧客信頼の獲得および受注拡大

・ 津波避難場所、海抜高さを各所に明示
・ 避雷針や避雷器を設置
・ BCP のレジリエンス体制の強化
・ 緊急時震源の確保(非常用電源確保と自家発電設備の活用)
・ 建設地、建物耐久性の確認と改善
・ 耐久、耐水、耐熱性に優れた製品の企画、開発

 
 
 
 
 
 
慢性

・気象情報
・降水、気象パターンの変化

・ 温暖化の進行に伴う製品耐久性の不足による品質不具合

・ 製品の耐久性の充実による付加価値および収益向上

・ 津波避難場所、海抜高さを各所に明示
・ 避雷針や避雷器を設置
・ BCP のレジリエンス体制の強化
・ 緊急時震源の確保(非常用電源確保と自家発電設備の活用)
・ 建設地、建物耐久性の確認と改善
・ 耐久、耐水、耐熱性に優れた製品の企画、開発

 

 

 

 

政策・規制

・ 電動化の促進施策(ZEV※1、燃費、ガソリン車規制)
・ 政府のカーボンニュートラル宣言(CP ※2 制度、補助金の拡大)

・ 顧客のエコカー開発が加速ガソリン車の部品の売上が減少
・ 燃料、エネルギーへの課税(炭素税)に伴うエネルギーコストの増加および収益悪化
・ GX※3構想およびCP など気候変動施策への対応に遅れが生じた場合の評価低下(格付機関・投資家・NGO・顧客など)

・ ZEVであるEV/FCEV※4の製品開発が進み売上が増加
・ 国の支援(補助金など)を活用した製品、工法開発が進み収益が向上
・ GX 構想およびCP など気候変動施策への対応を迅速に実施出来た場合には、マネジメントプロセスが改善

EV/FCEV 用の製品
および部品開発

 

 

 

 

 

 

 

市場

・CASE, MaaS 市場拡大
・ 省エネ製品、高分子・LED の技術を活かした新分野の市場拡大

・ 車の価値、使い方の変化で従来品の売上が減少
・ 環境負荷の大きい製品の不買化

・ 先行的な気候変動対応への取り組みや、省エネ製品開発により市場に提供する製品・サービスにおいて付加価値を創出し、優位性や事業機会を確立
・ GHG※5低排出製品・サービス開発のためにイノベーションが拡大し、HDD 関連市場において低消費電力デバイスの市場が拡大
・ 半導体デバイスの高性能化と低消費電力化による半導体プロセス部品事業の拡大
・ レジリエンス(気候変動への対応力)を構築することで、競争優位性を確保し、企業価値が向上

・ 半導体やエレクトロニクスの未来像を見据え、最先端の研究開発を推進
・ 革新的な技術を備えた付加価値の高い製品をタイムリーかつ継続的に供給
・ 製品の軽量化への取り組みなど、排出されるCO2 がより少ない製品の開発

 

 

 

技術

・ エネルギー転換
・ 再生可能エネルギー技術の進歩、普及
・省エネ技術の普及

・ エネルギー転換に伴い生産技術分野でコストが増加し、財務負担が増加
・ 技術普及に乗り遅れ、CO2低減が進まず脱炭素などで収益が悪化

・ 製造段階での省エネ、低コスト、生産の開発による事業拡大、収益向上
・ GHG 低排出製品・サービス開発のためにイノベーションが進み収益向上
・ 再エネ、省エネ技術を活用した環境に配慮した生産工程の整備が進み収益向上

・工場エネルギーの最適化を推進
・ 再生可能エネルギーの積極的な導入

 

評判

・ 顧客の評価の変化
・ 投資家の評判の変化

・ 環境負荷の小さい(脱炭素など)製品が発注条件となり、対応ができず失注

・ 脱炭素の製品開発ができ、競合他社に優位性が増し、受注拡大

・環境に優しい材料開発、製品設計

※ 1 ZEV:Zero Emission Vehicle の略。走行時にCO2 などの排出ガスを出さないEV/FCEV など。
※ 2 CP:Carbon Pricing の略。炭素税や排出量取引により炭素に価格付けを行うこと
※ 3 GX:Green Transformation の略。温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた取り組みを成長の機会と捉え、排出削減と競争力の向上の実現に向けた変革のこと。
※ 4 FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle の略。燃料電池電気自動車のこと。
※ 5 GHG:Greenhouse Gas の略。CO₂ などの温室効果ガスのこと。

Risk management

リスク管理

 当社では、代表取締役社長を最高責任者、企画管理本部本部長を推進責任者とするリスク管理体制を構築し、気候関連のリスク(物理リスクおよび移行リスク)を含め管理しています。
 リスク管理においてはリスクの未然防止を図り、被害を最小限にとどめるとともに、再発を防止するための対策を決定し、進捗管理をしています。
 一方で、リスク管理において取締役会が明確に関与するガバナンスプロセスの構築は、これから実現すべき課題だと認識し、今後取り組んでいきます。

Indicators & goals

指標・目標

 当社グループは、エネルギー使用量から算出するCO2排出量について削減目標を掲げ、地球環境保全活動に取り組んでいます。2020年度までは売上高原単位で管理していましたが、2021年度からは、カーボンニュートラル達成を目指し、CO₂総排出量で管理しています。

中長期目標

項目 目標年 目標値
CO2排出量 2030年 SCOPE 1※6 + SCOPE 2※7におけるCO2 排出量2013 年度比50% 減
2039年 SCOPE 1 + SCOPE 2 におけるCO2 排出量ゼロ化
産業廃棄物量 2030年 2013 年度比95% 減
2039年 産業廃棄物ゼロを目指す

 

※ 6 SCOPE1: 事業者自らによる燃料の使用によるCO₂ 排出量
※ 7 SCOPE2: 他社から供給された電力などの使用によるCO₂ 排出量